- 時のコラム
- 第七話:スピリット オートクオーツ SCDS008
第七話
「スピリット オートクオーツ SCDS008」
私の宝物「SCDS008[キャリバー5M22](現在廃番)」。
今から15年前、会社より20年勤続表彰で頂いた時計です。
これに先立ち総務部より「今年で勤続20年になりますので、記念品として定価5万円くらいの腕時計を選んで下さい」と連絡がありました。私自身、時計・宝飾の販売に携わっていましたので、薄型のドレスウオッチや多軸タイプが全盛の時代のなかで“一際変り種”の「オートクオーツ」が目に入りました。
『腕の動きを電気エネルギーに換える自動巻発電機構を内蔵』『電池交換が不要で地球環境にもやさしい』という機能が決め手となり、この時計を選びました。
文字板の『AUTO QUARTZ(オートクオーツ)』の文字とマークも当時にしては珍しく、とても気に入っていましたが、このオートクオーツの文字とマークはすぐに消えてしまい、「AGS(Automatic Generating System)」のロゴマークに変わってしまいました。
腕時計の原点を感じさせる大きく見やすい文字板、オーソドックスで飽きの来ないデザインは今でも大好きです。
また、裏ぶたに刻み込まれた「勤続20年㈱ヤマザキ」の文字を見るたびに、当時を思い出し、自分自身が「スピリット:精神」という言葉の意味を考えながら、今日も私の左腕で静かに時を刻んでいます。
そして今、一緒の時を生きるべき仲間が産声を上げました。
ゼンマイがほどける力を機械式時計で使われているテンプではなく、水晶振動子で制御するために桁違いの加工精度と、省エネルギー技術の進化で実現した「スプリングドライブムーブメント」を搭載した『SBGA211(SBGA011 当時)』。
白い世界を音もなく滑る針が、未来への道標のように感じます。
スプリングドライブの故郷である諏訪地方から望む、美しい新雪をイメージした純白の文字板と、青く焼き付けられた秒針。
次の節目には是非手に入れたいと思っています。(A.H)